インタビュー

【女子W杯開幕直前スペシャル企画】 前回王者矢野喬子氏インタビュー(前編)

【女子W杯開幕直前スペシャル企画】 前回王者矢野喬子氏インタビュー(前編)

FIFA女子ワールドカップ(W杯)2015が6月6日よりカナダで開幕。日本は、2011年の前回大会で初優勝を果たしており、今大会は王者の証「優勝エンブレム」を付けての戦いとなります。連覇がなるかも注目です!
そこで今企画では、元日本女子代表であり前回大会優勝メンバーの矢野喬子さんに、今大会のポイントを「各要素」から伺いました!
今大会のポイントを押さえて、より一層熱く!なでしこJAPANを応援していきましょう!!

「なでしこらしい戦い方」に感動あり。
前回大会について伺います。

Q.前回W杯でなでしこは初優勝の快挙。印象に残っている場面と、優勝の要因を教えてください。

決勝の澤選手のゴールですね。コーナーキックで、あの角度、あの蹴り方でゴールを決めることは本当に難しいですし、一度ワンバック選手に当たっているので、あれが無ければゴールは生まれてない。いろいろな事が重なったので、とても印象に残っています。
多くの事が重なったのが要因だと思いますが、先ず一つ挙げるとしたら、予選リーグを戦っていく中で、徐々にチームが一つにまとまったというのがあると思います。後は2011年に日本で大震災起き、選手達の中に「頑張らなければいけない!」という熱い気持ちが入っていたので、そこで何かしら奇跡が起こるような事が重なったというのがありますね。

Q.優勝してからの女子サッカーはどう変わりましたか?

メディアに取り上げて頂ける回数が増えたと感じていました。日本を出発する時は、何名かの記者が来てくれていましたが、W杯終了後は物凄い数の記者の方が集まってくださいました。
また、環境が良くなりサッカーをする女の子が増え、代表だけではなく、なでしこリーグのチャレンジリーグ(3部リーグ)も注目されるようになったので、そこが変わりました。
しかし、W杯、ロンドンオリンピックが終わり、当時のブームより少し落ち着いてしまっているのが現状だと思います。

だからこその、今大会。

Q.今大会なでしこジャパンはどう大会に臨むべきでしょうか?

なでしこは「結果を残さなければいけない」と掲げてきました。過去を見てもそうですが、結果を残さなければこの先どうなるか本当に分からないので、そこを考えて欲しいなと思います。
前回は、多くの奇跡が起きて優勝に辿りつきましたが、あれから4年間が経ち、日本のサッカーが研究されて、今年のアルガルベカップも結果が出ませんでした。
一番は結果と言いたいですが、“なでしこらしい戦い方”を観て下さる皆さんにどう伝えられるかをまずは一番に考えてもらいたいですね。

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澤穂希の復調、そして代表復帰。
[ PERSON ]

Q.23人の代表メンバーが5月1日に発表されました。印象を教えてください。

これは皆さんと同じ考えで、メンバーが変わらなかったというのは感じましたね。
とは言っても、私もこのメンバーを予想していました。

若手の成長は期待されていましたが、今のチームに合わなかったと感じています。今の“なでしこの戦い方”があり、佐々木監督になられてから長いので。そこに今までのメンバーの固い「キズナ」があって、言わなくても選手がどういう戦い方をすべきか分かっているところに、若手が入るのは凄く難しかったと思います。

Q.攻撃、守備、全体で矢野さんの思うキーパーソンは誰になりますか?

■攻撃■ 大儀見選手
彼女がなでしこに入った時から一緒にやってきましたが、一人で世界に戦える強さという面では、とても成長を感じます。今は海外の選手があたりにいっても、逆に吹っ飛ばされてしまう。そういった日本人は今まで居なかったので、彼女の出来が攻撃面を左右すると思います。

■守備■ 岩清水選手
彼女は身体能力がありますからね。ただ身長の高い外国人選手にどう戦っていくか、どういうラインコントロールをしていくかが、日本の守備のポイントになります。コンパクトに出来なければ、ロングボールでやられてしまうと思いますし、そこをどう統率していくのかが重要になると思います。

■全体■ 澤選手
備の面でも攻撃の面でもなでしこジャパンの中心となる選手だと思います。怪我もあり代表に選ばれなかった時はありましたが、それを跳ね返すぐらいのパフォーマンスを今シーズンしています。守備の面でも目立っていて、危ないところを潰すというケアがしっかり出来るというのは、経験からなのか、予測が本当出来ているからだと思います。

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攻守の連動と環境適応力。
[ STRATEGY ]

Q.戦術のポイントはどこになりますか?

やはり守備の面だと思います。今年のアルガルベカップを見ると、守備がバラバラでイージーミスから失点といったパターンが多かったので、まずそこは無くさなければいけないです。前回のW杯を見ても、なでしこは強固な守備を掲げていたので、守備の強化は求められてきます。
後は、攻守に連動したサッカーというのを、佐々木監督がずっと言っているので、攻守に連動した「守備」も出来ないと簡単に崩れてしまうのかなと思います。
なでしこの攻撃の持ち味としてサイド攻撃がありますが、プレッシング(攻撃)をかける上で、サイドハーフ・サイドバックの連係/連動というのはとても難しく、そこが噛み合わないと綻びが出てしまいます。ですから、ここでも攻守に連動したサッカーが重要なポイントになると思います。

Q.今大会男女通して初の人工芝での開催となりますが、メリットやデメリットはありますか?

デメリットは、それぞれの会場のグラウンドによってボールの跳ね方が違うとか、ボールの走り方が違うというのは、慣れなければ難しいですが、私が思うに、デメリットよりもメリットの方が大きいと感じています。
なでしこリーグのほとんどのチームは試合以外、人工芝で普段練習を行っているからです。チームによって異なると思いますけど、例えば私が所属していた浦和の場合は平日に一度だけ芝生を使い、後は試合前日の練習と本番の試合が芝のグラウンドというぐらいでしか芝生を使えていません。
むしろ芝生の方がボールが走らなかったりするので、人工芝は逆にメリットと考えて良いと思っています。ボールが走るので、パスサッカーには向いているかもしれないですね。ただ、ゴムチップの関係とかで疲れやすくなることはあるので、他国のチームがどれだけ人工芝に慣れているかは分かりませんが、日本にとってはそんなに悪い事ではないと思います。

Q.今大会より出場国数が増加しました。
     試合数が増えますが、なでしこの準備は万端ですか?

日本は以前からの大会などで、強行スケジュールには慣れている。その為、問題なくこなせると思っています。後は、メンバー11人だけではなくて、残りのメンバーがどれだけ遜色なく戦えるかがこれからの課題になってきます。
普通だったら試合の次の日はリカバリーといって体の回復をする運動しかしない事が多いですが、なでしこの場合は、午前練習の最初の部分だけリカバリーで15分ぐらいランニングして、その後紅白戦をやるとかあるので(笑)。
過密日程には慣れていると思うので問題ないと思います!

「連覇に向けて、熱い応援よろしくお願いします!」

 

矢野喬子 / Kyoko Yano
1984年生まれ。湘南学院高等学校を経て神奈川大学に進学。大学在籍時の2002年に日本女子代表に初選出され、その後2012年まで代表として活躍。国際Aマッチには通算74試合出場1ゴールの成績を残している。
なでしこリーグでは、浦和レッドダイヤモンズ・レディースに所属。同チームでは4人目のプロ契約選手であった。
2013年に現役引退。母校の神奈川大学職員に転身し、現在は同大学女子サッカー部の指導に携わる。

《主な代表選出大会とその成績》
2003年 FIFA女子ワールドカップ アメリカ大会 グループリーグ敗退
2004年 アテネオリンピック ベスト8
2007年 FIFA女子ワールドカップ 中国大会 グループリーグ敗退

2008年 北京オリンピック 4位
2010年 第16回アジア競技大会(中国・広州)  優勝
2011年 FIFA女子ワールドカップ ドイツ大会 優勝
2012年 ロンドンオリンピック 準優勝

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