インタビュー

【女子W杯開幕直前スペシャル企画】前回王者矢野喬子氏インタビュー(後編)

矢野喬子 / Kyoko Yano
1984年生まれ。湘南学院高等学校を経て神奈川大学に進学。大学在籍時の2002年に日本女子代表に初選出され、その後2012年まで代表として活躍。国際Aマッチには通算74試合出場1ゴールの成績を残している。
現役時代は、浦和レッドダイヤモンズ・レディースに所属。
2013年に現役引退。母校の神奈川大学職員に転身し、現在は同大学女子サッカー部の指導に携わる。
《主な代表選出大会とその成績》
2003年 FIFA女子ワールドカップ アメリカ大会 グループリーグ敗退
2004年 アテネオリンピック ベスト8
2007年 FIFA女子ワールドカップ 中国大会 グループリーグ敗退

2008年 北京オリンピック 4
2010年 第16回アジア競技大会(中国・広州)  優勝
2011年 FIFA女子ワールドカップ ドイツ大会 優勝
2012年 ロンドンオリンピック 
準優勝
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前半に引き続き、女子W杯のポイントについて伺っていきます。

首位通過が命題のグループステージ。
[ GROUP STAGE ]

Q.初戦のスイス戦のポイントはどこになりますか?

「勝たなければいけない」という中でやるので、硬くなってしまうと思いますが、とにかくこの初戦を落とさない事が大事です。勝たないとその後の試合に響きますし、優勝するにあたってグループは1位で突破した方が良いので、全勝しなければいけない。先ず一試合目を勝つことで、残りの2、3試合目は硬くならずに入れると思います。内容よりも、とにかく勝つことが初戦のポイントになると思います。

Q.対戦する3か国はいづれも大会初出場ですが、対戦相手の情報も少ない中、なでしこジャパンはどう戦っていくべきですか?

“なでしこらしい戦い方”を貫くべきだと私は思っています。その理由として、やはり身体能力は低いですし身長、スピード、パワーで勝負しても勝てないですよね。日本が得意とする組織的なサッカーで攻守に連動したプレーを貫くしかないです。もちろん相手によって何が特徴かは変わってきますが、相手のストロングポイントは必ず消さなければいけない。その中でも自分達のやるべき事は、攻守の連動性や質を上げていく事、しっかりボールを保持して主導権を握ってサッカーをする事だと思います。

強豪国からゴールを守れ!
[ 女子サッカーにおける強豪国 ]

Q.なでしこジャパンの宿敵、 FIFAランキング2位のアメリカ。要注意人物は?

自分がプレーしていた時からワンバック選手とモーガン選手だと感じています。しっかり繋げる技術も持っていますし、前線に(ロングフィードで)蹴ってワンバック選手が逸らして、モーガン選手がスピードで背後抜けるという武器もあります。ワンバック選手は体を当ててもぶれないぐらい彼女は大きいですし、モーガン選手は本当にスピードが速く、シュートが上手な選手なので、両選手はとても良いコンビだと思います。キーパーのソロ選手なんかも目力ありますよね(笑)。

Q.FIFAランキング1位のドイツと、「急成長した」と評判高いFIFAランキング3位フランスの印象を教えてください。

どの国も「個」は非常に強いと思います。さらに、ドイツやフランスといった国は、そこに「組織力」がプラスされている。
ドイツはスピードもありますし、大きな展開には魅力があります。2012年に日本でU-20女子W杯がありましたが、その時U-20ドイツ代表で活躍していたマロシャン選手などが代表で今活躍しているみたいなので、若手の成長もあるチームですね。
また、前回のW杯で日本に敗れてロンドンオリンピックに出られなかったので、今大会に賭ける思いは強いと思います。
フランスも「個」が凄いです。前線には得点力の高いルソメ選手やとても速いトミス選手が右に居て、後ろのCBも背が高くて速いルナール選手が居ます。以前からよく知られているネシブ選手は、今年のアルガルベカップに出場出来ていませんでしたけど、技術も高いので、しっかりプレッシャーかけなければいけませんね。要注意人物です。

 Q.アメリカ,ドイツ,フランスといった強豪に勝つには、どう戦えばいいのでしょうか!?

簡単に失点しない強固な守備が第一ですね。どの試合でも失点して追いつくことは、本当にパワーが要ることなので、とにかくまずは失点しないことを意識して欲しいなと思います。その後に日本が、ショートカウンターなのか、しっかりポゼッションをして崩していくのかを明確にやってほしいなと思います。

 

「強いなでしこ」にはワケがある。
[ だからなでしこは勝てる! ]

Q.なでしこジャパンのストロングポイントを教えてください。

“誰かの為に強くなれる事”です。自分の為だけに頑張ると自分の中でのパワーしか出せませんが、誰かの為、何かの為に頑張ると自分の持っている以上のパワーが引き出されます。それが2011年の結果に繋がりました。
「~の為に」というは、なでしこが強く持っている事だと思うので、それがサッカーの技術とは違う面での強みだと感じています。
なでしこのストロングポイントはフィールド外に多いのですが、フィールド内の面では、「あきらめない」というのがありますね。
ゴール前で体を投げ出してボールを止めるシーンや、スライディングで体を張った一生懸命なプレーが凄くあります。また、そういった部分があるので、強豪国に対しても勝つことが出来るのだと思います。
「あきらめない」と「~の為に」の2点が、なでしこのストロングポイントですね!

やのさん

[なでしこを目指す子供達へ。]

Q.最後に、今大会で、なでしこジャパンを目指す子供達に何を見て欲しいですか?

やはり「あきらめないプレー」というのを見て欲しいですね。最近の子ども達を見ていると「技術、技術」とそっちに走ってしまう子が多いです。技術はもちろん、なでしこの選手は持っていますが、最後は気持ちだということを知って欲しいです。あきらめない心・プレーが人の心を動かしますし、感動を生むと思っているで。その部分を見て感じとって欲しいなと思います。

「なでしこJAPANへ向けたメッセージ」

【編集後記】  あきらめない、その先にあるもの。

前回大会、日本はアメリカ・ドイツを抑え、下馬評を覆し“栄光” をつかみ取った。まさに、「あきらめない心・あきらめないプレー」が実を結んだ瞬間だった。また、これを機に、なでしこジャパンを「目標」とする子ども達も増え、“「あきらめない」のその先にあるもの”の大きさを、なでしこ達は示した。
日本は現在FIFAランキング4位。ランキングの順位からもわかる通り、なでしこジャパンの連覇というのは容易ではなく、今大会も厳しい戦いになることは間違いないが、サッカー女子日本代表は再び「あきらめない心・あきらめないプレー」を全国に、そして子供たちに見せてくれるであろう。-文責:永井 

【番外編】

今回取材を引き受けて頂いた矢野喬子さんに質問タイム(^^)v

現在指導者をされていますが、今後子供たちどういった事を伝えていきたいですか?
「年代年代で違いますが、小さい子供たちに対しては『サッカーを楽しむ』ということを伝えたいと思っていて、今自分が指導している大学生に対しては『目標を持つ事』を伝えたいです。

みんな目標を持って取り組むと思うんですけど、こう毎日毎日生活していく中でたぶん忘れちゃうんですよね。なので、その目標を『常に振り返れ』という風に伝えています。
目標を忘れてしまうと、なあなあと一日を過ごしてしまったり、気づけばそれが一週間一か月経ったりというもったいない時間を過ごしがちです。常に『自分は何を目指すべきなのか』という事を考えれば、今自分のしている行動は正しいのか、成長出来るのか、こうしない方が良い、いややっぱりこう変えていった方が良いと いろいろ考えられますよね。指導もそうなんですけど、まずはその自分の目標に対してしっかりと振り返る事というのは、プレーの面でも生活の面でも伝えていますね。」

今回のW杯はNHKの解説者としてカナダに行かれますが、解説者としての抱負をお願いします。
「NHKを観てくれる方ってほんと様々で年齢も幅広いと思うので、誰にでも伝わる言い方というのをしたいなと一番に考えています。やはりサッカー用語を言ってしまうと、何を言っているのか分からないと思うので、なるべく皆さんには分かり易い言い方というのを意識して伝えていきたいなと思います。

あとは、現地でなでしこの戦いを近くで観れますし、どんな想いで戦っているだとか、たぶん私にしか分からない事ってあると思うので、それを言葉で上手く伝えられたら良いなと思っています!」

今大会、矢野さんの解説にも注目です!

 矢野さんインタビューありがとうございました。 

やのさん1

インタビューアー
川上峻也、山岸つかさ、永井千晶

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